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江藤 高木先生が昭和55年、56年、57年と献体のことについて国会で発言されてるんですけれども。高木先生が第1回をやってすぐに石本茂先生9)が2回も発言されてるんです。これは看護という立場からだけじゃなくて女性の議員の方が積極的に2回もとり上げて下さったことが非常に大きな貢献していただいたんだろうと感謝している次第です。

 

星野 集中的に高木先生と石本先生がこの2ヵ月の間に3回も発言されている。その後、僕らが陳情に歩きました時に、秘書たちの態度が変わったということがありましたね。

 

内野 その時期を経て国会の先生方が実情を解剖学会とか全連の方々に聞かれて法案を作ることになりますが、その法案作りの打合せには解剖学会の理事長をしておられた三井但夫先生10)、次の理事長の吉村不二夫先生11)とここにご出席の星野先生、佐藤達夫先生。それから全連からはやっぱり郡司乕席雄12)さんが非常に大きな活躍をされたと思いますが。

 

星野 ええ。もう郡司さんがいなかったら法制化ができてるかどうか分からないぐらいに貢献をされたと思いますよ。最初は私ども文部省にお願いしたんです。政府立法として。そうすると結局死体解剖保存法があるんですね。それが厚生省の管轄ですね。それで高木先生の判断で議員立法に変えようっていうことにしたんですね。

 

内野 今の星野先生の話について前畑先生いかがですか。

 

前畑 この竹内先生がおまとめになりました法律にも「死体解剖保存法第7条本文の規定に係わらず」とございますように、死体解剖保存法とのバッティングの問題がどうしても出てくるわけです。

 

星野 そうなんですよ。

 

前畑 それで文部省と厚生省との間の調整の問題が一つと、もう一つは、政府として、およそ法律を作ろうとするときには、国民の権利義務に係わる事柄について、何かをしなければならないという必要性がなければならない。したがって、法律案の条項には、国民の権利義務に係わる事項が盛り込まれていなければならない、ということを内閣法制局が厳しくいうわけです。ところが献体の法律案には、そこのところが非常に難しかった。その辺の事情を高木先生にお話をし、ご理解いただいて今のようなことになったんだと思いますね。

 

星野 それで先生がおっしゃるには議員立法にすれば精神立法でいいんだと。

 

前畑 献体法の法案作りは高木先生が公明党でいらしたという関係で原案は公明党の正木政審会長13)のところでお作りくださって、最終的には自民党の文教部会の中に小委員会が作られて、そこの長に竹内先生がなられて、まとめてくださったのですね。

 

星野 そうそう、そうなんです。議員立法にするということになって、自民党がそれじゃうちで引き受けようといって高木先生のお仕事を自民党が引き受けてくだすったんですよ。

 

内野 竹内先生、その辺のいきさつはいかがなもんですか。

 

竹内 私がこの問題にタッチする最初のきっかけは、今日お越しの星野先生、佐藤先生が私のとこへ陳情にみえて、初めてそういう問題があるということを認識した程度なんですが。
ある日小沢辰男先生に呼ばれまして、献体を議員立法しろっていう話が来てる。お前事務局やれと。いきなりこういうお話なんですよ。それで今までどういういきさつですかって聞いたら、ずっと公明党の高木先生を中心にして参議院側でこういう動きがある。これは議員立法ということは大体全会一致を建前にする。つまり国会の形式でいくと法案の形式では委員長提案という型にするのが一番通りやすいんだいう話なんです。
ですから自由民主党が中心になるけども、公明党、それから当時の社会党ですね。こういう政党とも連絡を取らなきゃならんのでその連絡役もお前や

 

9)石本茂;当時参議院議員(自民党)
10)三井但夫;慶応義塾大学医学部名誉教授、元日本解剖学会理事長
11)吉村不二夫;東京慈恵会医科大学名誉教授、元日本解剖学会理事長
12)郡司乕雄;(故人)元篤志解剖全国連合会会長
13)正木貞明;当時衆議院議員(公明党)

 

 

 

 

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